何歳から動く?事業承継のベストタイミング

「まだ60代だから、もう少し待ってから動こう」——そう思いながら時間が過ぎ、気づけば70代・80代になってしまった経営者の方が、全国に非常に多くいらっしゃいます。

一方で、「もう73歳だから遅すぎる」と思い込んで、最初から諦めてしまう方も少なくありません。実は、この「まだ早い」と「もう遅い」のどちらも、動き出せない理由にはなりません。

このコラムでは、年代別・状況別に「事業承継を始めるべきタイミング」の判断基準を具体的にお伝えします。「今の自分の状況でどう動くべきか」が、この記事を読み終えるころにはっきり見えてくるはずです。

「まだ早い」「もう遅い」——どちらでも動けない経営者の共通点

事業承継を検討されている経営者の方とお話をすると、「時期の問題」でつまずく方が非常に多いことに気づきます。

「60代前半だから、まだ10年はいける。急いで動く必要はない」という方がいる一方で、「もう76歳だから、いまさら承継なんてできないだろう」と最初から諦めている方もいらっしゃいます。

しかし実際には、どちらも「思い込み」から来ているケースがほとんどです。

📌 ポイント
事業承継に「完璧なタイミング」は存在しません。重要なのは「今の状況で何ができるか」を正確に把握することです。早すぎても遅すぎても、まず現状を知ることが第一歩になります。

時期の迷いが生まれる本当の理由

多くの経営者が動き出せない背景には、「承継には莫大な時間・費用・手間がかかる」というイメージがあります。しかし近年、M&Aプラットフォームの整備や公的支援制度の充実により、以前と比べてずっと動きやすい環境になっています。

帝国データバンクが2024年に実施した調査によると、国内の中小企業における後継者不在率は53.9%にのぼります(出典:帝国データバンク「全国企業後継者問題実態調査」2024年)。後継者問題は、日本全体で現実に起きていることです。

承継を検討し始める「きっかけ」はさまざま

「体調に異変を感じた」「子供が継がないと言い出した」「同業者がM&Aで売却したという話を聞いた」など、承継を考え始めるきっかけは人それぞれです。どんなきっかけであれ、気づいた時点で動き始めることに遅すぎはありません。

60代前半が事業承継の「黄金期」と言われる3つの根拠

実際に事業承継の支援をおこなう専門家の間では、「60代前半が最も条件の良い承継ができる時期」とされています。その理由を3つの視点で整理します。

① 体力・判断力が十分に維持されている

事業承継のプロセスでは、買い手との面談・交渉・デューデリジェンス(=買い手が売り手の企業内容を詳しく調査すること)など、体力・精神力を必要とする場面が続きます。60代前半であれば、このプロセスを自身の意思とペースで進められる確率が高いといえます。

② 選択肢が最も広い時期

60代前半は、「親族承継・従業員承継(MBO)・第三者承継(M&A)」の3つの方法すべてを比較・検討できる状況にある方が多い時期です。70代・80代になると、時間的制約や健康上の理由から、選択肢が絞られることがあります。

③ 企業価値の整備に時間が使える

60代前半で準備を始めると、実際の承継完了まで2〜3年の余裕をもって進めることができます。その間に「経営者に依存しない体制づくり」「財務の整理」「後継者候補との関係構築」など、企業価値を高める準備が可能です。

📋 この章のまとめ
・60代前半は体力・判断力・選択肢の三拍子が揃う時期
・3つの承継方法すべてを検討できる最後のタイミングになりやすい
・準備に時間をかけられる分、企業価値を高めてから売れる可能性が高い

70代・80代からでも承継できるケースと注意点

「もう70代だから遅い」と思っている方に、はっきりお伝えしたいことがあります。70代・80代からの事業承継は、決して不可能ではありません。ただし、60代とは異なる「注意点」があります。

70代から承継できるケース

業績が安定しており、財務状況が整っている企業は、70代でも買い手が見つかるケースが多くあります。また、業界や地域に特有の技術・ノウハウ・顧客基盤を持つ企業は、規模が小さくても高く評価される傾向があります。

実際の事例についてはSDアドバイザーズの実績・事例紹介ページをご覧ください。

80代からの承継で特に注意すべき点

80代になると、万が一健康状態が急変した場合に承継プロセスが中断するリスクが高まります。また、銀行や取引先との関係が経営者個人に依存している場合、買い手から見た企業価値の評価が下がることもあります。

⚠️ 注意
80代での承継では、「経営者が急に動けなくなった場合」の緊急対応計画(キーマンの特定・株式の整理・権限の移譲)を事前に整えておくことが強く推奨されます。この準備があるかないかで、成約の可否が変わるケースがあります。

「健康問題」が表面化してからでは遅い

承継を検討する際、買い手は「現経営者なしでも会社が回るか」を必ず確認します。経営者が病気療養中であったり、意思決定に支障が出ている状況では、交渉自体が難しくなることがあります。健康上の変化を感じたタイミングで、速やかに専門家に相談することをお勧めします。

業績が良いときこそ動くべき、その本当の理由

「業績が悪いから売れない」と思っている方がいる一方で、「業績が良いからまだ売る必要がない」と先送りしてしまう方も多くいます。しかし後者こそ、承継の「最大のもったいない」です。

企業価値は業績に直結する

M&Aにおける会社の値段(企業価値の評価)は、基本的に「利益×倍率(EBITDA倍率)」で計算されることが多くあります。つまり、業績が良い時期に売ることで、より高い価格での成約が期待できます。逆に業績が落ちてから動き始めると、同じ会社でも評価額が下がってしまいます。

📌 ポイント
「今は業績が良いから焦らなくていい」ではなく、「今だからこそ、最も有利な条件で動ける」という発想の転換が重要です。業績のピーク時期に準備を始めることが、最も経営者にとって有利な選択です。

業績悪化後に始めると選択肢が狭まる

業績が落ちると、買い手の選択肢が限られ、交渉力も低下します。また、金融機関からの融資条件が変わり、買い手の資金調達が難しくなることもあります。中小M&Aガイドライン(中小企業庁)でも、「早期からの準備」が円滑な承継の重要条件として明記されています(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」)。

「今が動くべきサイン」を見逃さない3つのチェックポイント

タイミングを判断するための「サイン」は、実は日常の中に隠れています。以下の3つに一つでも当てはまる場合は、承継の準備を始めるサインと考えてください。

  • 1

    健康状態に変化を感じ始めた
    「少し疲れやすくなった」「定期検診で気になる数値が出た」など、体の変化を感じ始めたときが動き始めのサインです。まだ体が動く今のうちに準備を始めることが、経営者としての最後の仕事になります。

  • 2

    後継者候補が「継がない」と言い始めた
    子供や親族が承継を断った、または従業員に後継者にふさわしい人材がいないと感じたタイミングは、第三者承継(M&A)を真剣に検討するべきサインです。「いつかは誰かが継いでくれる」という期待だけでは、廃業という選択肢しか残らなくなる可能性があります。

  • 3

    事業承継税制の期限が近づいている
    自社株式の贈与税・相続税の負担を大幅に軽減できる「事業承継税制の特例措置」は、2028年3月末まで(特例承継計画の提出期限)とされています。この制度を活用するには事前準備が必要であり、期限直前では間に合わないケースもあります(出典:中小企業庁「事業承継税制」)。

先送りが招くリスク——帝国データバンクのデータが示す現実

事業承継を先送りし続けるとどうなるのか。データが示す現実をお伝えします。

年代が上がるほど「計画断念」が増える

帝国データバンクの調査によると、事業承継を「検討はしているが具体的に動いていない」という経営者の割合は、年代が上がるにつれて高くなる傾向があります。特に80代では、体調・家族の状況・後継者不在などの理由が重なり、承継計画が実現しないケースが増えることが報告されています(出典:帝国データバンク「全国企業後継者問題実態調査」2024年)。

廃業を選ばざるを得ないリスク

後継者が見つからないまま経営者が働けなくなった場合、最終的には廃業という選択肢しか残らなくなります。廃業には、従業員の解雇・取引先への迷惑・清算費用など、さまざまなコストが発生します。承継を早めに進めることで、こうした最悪のシナリオを回避できる可能性が高まります。

廃業と承継の費用・メリットを詳しく比較したい方は、SDアドバイザーズの事業承継の流れページもあわせてご覧ください。

⚠️ 注意
「いつでも動ける」という状況は、いつまでも続くわけではありません。体力・業績・法制度・後継者の状況——これら4つの条件が揃う期間は限られています。「今動けばまだ間に合う」というときに動き始めることが、最も確実な方法です。

「まずは話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です。

4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。

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今月できる第一歩——まずここから始めましょう

「タイミングが大事だとわかった。でも、実際に何から手をつければいいか」——そう感じている方のために、今すぐ実行できる3つの第一歩をお伝えします。

✅ 実践ポイント
自社の企業価値を無料で査定してもらう——SDアドバイザーズでは初回相談・査定は無料です。「いくらで売れるか」を知るだけでも、次の判断がしやすくなります。

事業承継税制の特例適用を税理士に確認する——2028年3月末が期限の特例措置は、今から準備しても十分間に合う場合があります。

まず「話を聞いてもらうだけ」の相談をする——決断は後でいい。まず状況を聞いてもらい、「自分の会社の場合はどうか」を専門家に整理してもらうだけで、不安が和らぐことが多くあります。

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「今月中に一度だけ話を聞いてみる」——それだけで、現状の見え方がまったく変わることをお約束します。

「いつかやろう」が、会社と従業員を守る最後のチャンスを逃すことがあります。

動き始める年齢に正解はありません。でも、「今日が一番若い日」であることは確かです。一人で抱え込まず、まず話を聞いてもらうだけでも、見えてくるものがあります。

「まずは話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です。

4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。

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監修:株式会社SDアドバイザーズ 事業承継グループ
私たちSDアドバイザーズ事業承継グループは、外部の企業にM&Aをご支援するコンサルタントではありません。
自社自身が事業承継・M&Aを積極的に活用し、グループ企業を拡大していく譲渡先として活動しています。

「40人の社員がいる会社を40社つくる」というビジョンのもと、実際に譲渡企業の経営者様と向き合い、ともにグループの未来を築いてきた経験と実績が、このコラムの情報の裏付けとなっています。

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※ 税務・法務の個別案件については、必ず税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況によって異なる場合があります。

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代表取締役 高木栄児