後継者不足50.1%中小企業が選ぶ第三者承継
「会社を継いでくれる人がいない」というお悩みは、いま中小企業の経営者の半数以上に共通する課題です。帝国データバンクの調査では、後継者不在率は50.1%(出典:帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2025年)」)にのぼります。
ただし、後継者がいないからといって、廃業しか道がないわけではありません。親族内承継・従業員承継・第三者承継・廃業の4つの選択肢があり、近年もっとも増えているのが第三者承継(M&A・グループ入り等)です。
このコラムでは、50〜80代の経営者の方に向けて、後継者不足の現状、原因、選択肢、そして第三者承継で会社を守る道筋を整理してお伝えします。
目次
後継者不足とは何か
後継者不足とは、経営者が高齢化または引退を迎える際に、事業を引き継ぐ人材がいない状態を指します。家族・親族のなかだけでなく、社内にも適任者が見当たらないケースが多く、中小企業に集中する課題です。
大企業では後継者育成のしくみが整っていますが、中小企業ではそうはいきません。経営者ご自身が長年支えてきた会社ほど、引き継ぎ先が見つからないという状況が起きています。皆さまの会社では、どなたか候補が頭に浮かんでいるでしょうか。
経営者を継ぐ人がいない状態
後継者不在は、たんに「後継ぎがいない」というだけの問題ではありません。事業の停滞、従業員の不安、取引先への影響、地域経済の縮小など、波及範囲は広く及びます。
中小企業に集中する課題
中小企業庁の整理では、日本の企業の99.7%が中小企業(出典:中小企業庁「中小企業白書」)です。日本経済全体の事業承継問題は、ほぼそのまま中小企業の課題と言い換えられます。
後継者不足は中小企業に集中する課題で、日本経済全体への影響度が大きい。
不在率5割という現実
後継者不在率は、長らく6割前後で推移していました。しかし帝国データバンクの最新調査では、不在率は50.1%(2025年)まで下がってきています。これは7年連続の改善で、調査開始以来の最低水準です。
「半分以上の会社にいまだに後継者がいない」という現実と、「ほんの数年前まではもっと多かった」という変化は、両方とも事実です。皆さまはこの数字を、どう感じられたでしょうか。
帝国データバンクの最新データ
2023年の調査では、後継者がすでに決まり本人も承諾している企業は10.5%(出典:日本政策金融公庫「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2023年)」)にとどまります。同調査では、廃業予定の企業が57.4%にのぼっています。
10年で改善した背景
不在率が下がっている理由のひとつが、第三者承継(M&A)の浸透です。「親族外には任せられない」という考え方が薄れ、第三者を後継者として迎える経営者が増えてきました。
不在率は50.1%まで改善しているが、依然として2社に1社が課題を抱えている。
不足の引き金は何か
後継者不足はなぜ起きるのでしょうか。原因はひとつではありません。少子化、価値観の変化、準備時間の不足が複合的に絡みあっています。
少子化と価値観の変化
日本では2022年の出生数が77万759人(出典:厚生労働省「人口動態統計」)と、過去最少を更新しました。子の数自体が減り、「家業を継ぐ」という価値観も薄れています。
子が継ぎたくない事情
子の世代では、自分の仕事や生活を確立したあとに、親の事業を引き継ぐ選択肢を取りづらいケースが増えています。経営の責任、債務保証、人間関係——どれも軽い負担ではありません。
準備時間の不足
経営者の平均年齢は約60.5歳(出典:東京商工リサーチ「全国社長の年齢調査」)です。承継には5〜10年の準備期間が望ましいとされており、60代半ばで動きはじめても遅すぎるということはありません。

後継者不足は少子化・価値観の変化・準備時間の不足が複合的に絡む構造的課題。
業種別と地域別の差
後継者不足の深刻さは、業種や地域によって大きな差があります。建設業や地方圏ではとくに高い不在率が見られます。ご自身の地域や業種は、いかがでしょうか。
不在率の高い業種
業種別では、建設業の不在率が57.3%と全業種で最も高くなっています(出典:帝国データバンク2025年調査)。職人技術の継承が重視される一方、若手不足により承継の選択肢自体が限られていることが背景です。
地方ほど深刻な背景
地域別では、秋田県が73.7%で全国唯一の70%超、最も低い三重県は33.9%と倍以上の開きがあります(出典:帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2025年)」)。地方では人口流出と高齢化が同時進行しており、「地元の会社を継いでくれる人がいない」状況が常態化しています。

業種別では建設業(57.3%)が最も高く、地域別では秋田県(73.7%)が唯一の70%超。地方圏ほど高水準が続く。
経営者に残る4つの道
後継者不足に直面した経営者には、現実的に4つの選択肢があります。皆さまはどの選択肢が現実的とお考えですか。それぞれの特徴を整理してお示しします。
| 選択肢 | 特徴 |
|---|---|
| 親族内承継 | 子・親族に引き継ぐ。納得感は高いが、候補者がいなければ進まない。 |
| 役員・従業員承継 | 社内の人材に託す。MBO(経営陣による買収)の買取資金がハードル。 |
| 第三者承継(M&A) | 外部企業に譲渡。譲渡先により雇用や事業を継続できる。 |
| 廃業 | 事業を閉じる。雇用と取引先の喪失が最大の課題。 |
選択肢の検討順序として、まず親族内・社内を当たり、目処が立たなければ第三者承継、という流れが標準的です。具体的な手続きの全体像は、グループイン・譲渡の流れでも整理しています。

4つの選択肢を順に検討し、自社にとって現実的な道を見極めるのが基本。
私たち4040 VISIONは、M&A仲介・アドバイザリー会社ではなく、自社グループに迎え入れる譲渡先として活動しています。譲渡をご検討中の経営者の方からのご相談をお待ちしています。
M&Aは選ばれているか
「親族外に売るなんて」と抵抗を感じる経営者は少なくありません。ただ実際には、第三者承継は近年急速に増えてきました。お気づきでしょうか、不在率が下がっている主因はM&Aの広がりだという見方が有力です。
知らない相手に譲るという誤解
第三者承継のうち、いわゆる仲介型M&Aでは、相手企業との交渉が短期間で進むことが多いです。一方、グループ入り型の譲渡では、譲渡先の経営理念や社風との相性を、時間をかけて確認するのが一般的です。
理念と従業員をどう引き継ぐか
譲渡先選びで重要なのは「相性」です。雇用条件の維持、屋号の存続、地域とのつながりの継続——どこまで守りたいかを言葉にしておくと、譲渡先候補との対話がスムーズに進みやすくなります。
「相性」を重視するなら、仲介型より譲渡先と直接話せるグループ入り型が選択肢に入る。
公的支援機関の活用
意外と知られていませんが、後継者不足の解決には国の公的支援が用意されています。中小企業庁が所管する「事業承継・引継ぎ支援センター」は全国47都道府県に設置されており、無料で相談できます。「無料」と聞くと、踏み出しやすくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事業承継・引継ぎ支援センター
同センターでは、譲渡先候補とのマッチング、専門家紹介、後継者人材バンクの運営などをおこなっています。中小M&Aガイドライン(第3版)(出典:中小企業庁)でも、最初の相談先として位置付けられています。
後継者人材バンクと補助金
後継者人材バンクは、「経営者になりたい個人」と「後継者を探す中小企業」を結ぶ制度です。事業承継・引継ぎ補助金などの公的助成も活用できる場合があります。
まずは事業承継・引継ぎ支援センター(無料)に現状を整理して話してみる、という入口がおすすめです。
廃業を選ぶ前の道筋
「もう廃業しかない」とお考えの経営者は、本当に多くいらっしゃいます。先述のとおり、廃業予定の企業は57.4%(出典:日本政策金融公庫)にのぼります。本当に廃業しか道は残されていないでしょうか。一度立ち止まって、確認すべき点があります。
雇用と取引先を守る視点
廃業すると、社員は職を失い、取引先も供給網を失います。長年積み上げた信用や設備、ノウハウが、すべて消えてしまいます。譲渡という選択を取れば、これらが新しいオーナーのもとで継続される可能性が残ります。
譲渡先を探す現実的な手順
譲渡先探しは、思い立ってから1日で結論が出るものではありません。多くのケースで、初回の相談から成約まで6か月〜2年ほどかかります。早く動きはじめた経営者ほど、選択肢の幅は広くなります。

廃業は決断したその日に進められますが、譲渡は時間がかかります。「廃業しか選べない状態」にならないよう、早めの情報収集が大切です。
一歩を踏み出すために
後継者不足の課題は、ご自身の会社だけの問題ではありません。同じ立場の経営者が全国に多く、その分だけ支援制度や譲渡先候補も整ってきています。
「自分の会社は誰にも引き継げない」と感じる前に、複数の選択肢を並べて比べてみる——ここから始めてみてはいかがでしょうか。
私たちは仲介者ではなく、お迎えする側です。経営者様のお考えと、私たちのグループとの相性を、一緒にじっくり見極める時間を大切にしています。
私たち4040 VISIONは、M&A仲介・アドバイザリー会社ではありません。事業を譲り受ける側として、ともにグループの未来を築く経営者の方をお迎えしています。
「どのような会社にバトンを渡すべきか」を検討されている段階でも、一度お話を聞かせてください。譲渡を急かすことはいたしません。
私たちSDアドバイザーズ事業承継グループは、外部の企業にM&Aをご支援するコンサルタントではありません。
自社自身が事業承継・M&Aを積極的に活用し、グループ企業を拡大していく譲渡先として活動しています。「40人の社員がいる会社を40社つくる」というビジョンのもと、実際に譲渡企業の経営者様と向き合い、ともにグループの未来を築いてきた経験と実績が、このコラムの情報の裏付けとなっています。
※ 税務・法務の個別案件については、必ず税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況によって異なる場合があります。
