事業承継の第三者承継で会社と雇用を守る方法
「親族にも社内にも後を任せられる人がいない。だからといって廃業はしたくない」──こうしたお悩みは、いま多くの中小企業経営者に共通する課題です。
そこで広がっているのが、第三者承継(=親族・社内ではない外部の第三者へ事業を引き継ぐ方法)です。M&Aと言うとネガティブに聞こえる方もいらっしゃいますが、実態は「会社と雇用を守るための承継手段」と捉えるほうが実情に近いと言えます。
本記事では、第三者承継の仕組み・選ばれる理由・メリットと注意点を、公的データと中小M&Aガイドラインに沿って整理します。
目次
第三者承継とは|3つの承継方法の比較
「そもそも第三者承継とはどんな承継なのか」と疑問に思う方も多いはずです。事業承継は3種類に整理できます。
| 種類 | 承継先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 親族内承継 | 子・配偶者など | 引継ぎはスムーズだが候補不在が増加 |
| 社内承継 | 役員・従業員 | 理念は守りやすいが資金面が課題 |
| 第三者承継 | 外部の企業・個人 | 選択肢が広く廃業回避に有効 |
第三者承継が選ばれる理由
近年、第三者承継を選ぶ経営者が増えている背景には、明確な数字があります。
後継者不在率と高齢化
帝国データバンクの調査では、2024年の全国・後継者不在率は52.1%でした(出典:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024)」)。改善傾向にあるとはいえ、依然として2社に1社は後継者が決まっていません。
廃業を避けたいニーズの高まり
会社をたたんでしまうと、雇用・取引・地域に与える影響は決して小さくありません。「黒字なのに廃業」という事例も実際に存在し、第三者承継はその選択を回避するための現実的な手段となっています。
2つの手法|株式譲渡と事業譲渡
第三者承継には大きく2つの法的スキームがあります。
株式譲渡
会社の株式そのものを買い手に譲渡する方法です。法人格と契約関係が原則そのまま引き継がれるため、取引先との関係維持がしやすいのが特徴です。
事業譲渡
特定の事業のみを切り出して譲渡する方法です。複数事業を抱える会社や、不要な負債を引き継がせたくない場合に向きます。
どちらが適しているかは、事業構成・契約内容・税務影響によって異なります。「会社単位か、事業単位か」の選択が、後の手続きと税負担を大きく左右します。
第三者承継の主なメリット
第三者承継には、ほかの承継方法では得にくい固有のメリットがあります。
- 後継者不在のままでも、廃業を回避して会社を残せる
- 従業員の雇用と取引先との関係を継続しやすい
- 経営者は譲渡対価を得られ、老後資金や次の挑戦の原資にできる
- 買い手の経営資源を加えることで、会社の成長余地が広がる
知っておきたい注意点とリスク
一方で、第三者承継ならではの注意点もあります。
情報漏洩・想定との企業価値ギャップ・引継ぎ後の経営方針変更など、対策をしないまま進めると、会社や従業員に不利益が及ぶおそれがあります。中小M&Aガイドライン(第3版)に準拠する支援機関と組むことが基本になります。
4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。
買い手はどんな会社・人なのか
「買い手」と聞くと大企業を想像する方もいらっしゃいますが、実際にはさまざまです。
- 同業他社:規模拡大・地域補完を狙う
- 異業種の事業会社:新規参入・川上/川下の取り込み
- 個人投資家・独立志望者:サーチャー型の承継
- 投資ファンド:成長投資による企業価値向上
マッチングから成約までの流れ
第三者承継は、おおむね半年〜1年程度の時間をかけて段階的に進みます。
- 準備(社内資料・財務の整理)
- 支援機関への相談・契約
- マッチング・ロングリストの作成
- 秘密保持契約・基本合意
- デューデリジェンス・最終契約
- クロージング・引継ぎ
事業承継全体の流れは、事業承継の流れのページにも詳しく整理しています。
従業員・社名・文化を守る交渉のポイント
第三者承継で経営者が最も気にされるのは、譲渡後の「中身」です。条件交渉の段階で文書化しておくべき論点は明確です。
交渉時に明文化したい項目
- 従業員の雇用継続・待遇維持
- 社名・ブランドの取扱い
- 主要取引先との関係維持
- 経営者の引継ぎ期間と関与範囲
譲渡後の在り方は「契約に書いた内容しか守られない」と考えるのが安全です。文書化を遠慮しないことが、結果として円滑な承継につながります。
まとめ|廃業の前に第三者承継を検討する
後継者不在=廃業ではありません。第三者承継という選択肢を知っているかどうかで、会社・雇用・地域に残せる価値は大きく変わります。
・第三者承継は廃業回避の現実的手段
・株式譲渡か事業譲渡かでスキームを選ぶ
・条件交渉は文書化が前提
話を聞くだけでも、会社の未来の見え方は変わってきます。
4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。
私たちSDアドバイザーズ事業承継グループは、外部の企業にM&Aをご支援するコンサルタントではありません。
自社自身が事業承継・M&Aを積極的に活用し、グループ企業を拡大していく譲渡先として活動しています。
「40人の社員がいる会社を40社つくる」というビジョンのもと、実際に譲渡企業の経営者様と向き合い、ともにグループの未来を築いてきた経験と実績が、このコラムの情報の裏付けとなっています。
※ 税務・法務の個別案件については、必ず税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況によって異なる場合があります。