M&A・事業承継コンサルの費用は補助金で減らせる?
「事業承継のコンサルに頼もうかと思っているが、料金の相場がよくわからない」「高い費用をかけても本当に意味があるのか」。そうお考えの経営者の方は少なくありません。
結論から申し上げると、M&A・事業承継コンサルの月額料金は30〜100万円が一般的な相場です。ただし、2025年度より始まった「事業承継・M&A補助金」を活用すれば、専門家費用の最大3分の2を補助で賄える制度があります。
この記事では、コンサルの料金体系・相談先の種類・依頼の効果から、補助金を使った実質負担の抑え方、後悔しない選び方まで順を追って解説します。コンサルを頼むかどうかの判断材料として、ぜひ最後までお読みください。
目次
M&A・事業承継コンサルの役割
コンサルが担う業務の範囲
M&A・事業承継コンサルティングとは、会社の経営権や資産を次の世代に引き継ぐにあたって、計画の策定から手続きの実行まで専門家がサポートするサービスです。
皆さまの会社では、いつ・誰に・どの方法で引き継ぐかについて、具体的な計画を立てていますか。この問いに即答できる経営者は、決して多くありません。
コンサルが担う業務は主に4つです。①事業承継計画の策定(いつ・誰に・どの方法で引き継ぐかのロードマップ作成)、②財務・税務の整理(自社株式の評価や税負担の試算)、③後継者の育成支援(経営移行期に向けた次世代幹部の指導)、④M&A・マッチング支援(第三者への事業譲渡のプロセス全般)。これらを専門家と一緒に進めることで、見落としのリスクを大幅に下げられます。
専門家・仲介業者との違い
「コンサル」「M&A仲介業者」「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」は似ているようで役割が異なります。M&A仲介業者は売り手・買い手の双方から手数料を得て取引をまとめることが主業務です。一方、FAやコンサルは特定の依頼者の利益を守ることに専念します。
また、顧問税理士は日常の税務申告が主業務であり、M&Aや事業承継の総合的な設計まで対応するケースは限られます。「誰が自分の味方として動くか」を意識して相談先を選ぶことが、承継の成否を分ける重要な視点です。
・コンサルは計画策定・税務・後継者育成・M&Aと幅広く支援する専門サービス
・顧問税理士やM&A仲介業者とは役割が異なる
・「誰が自分の味方か」を確認することが相談先選びの出発点
コンサルの料金体系3種
着手金・月額報酬の相場
M&A・事業承継コンサルの費用がわかりにくいのは、料金体系が業者ごとに異なるからです。まず、費用の全体構造を把握しておきましょう。
| 料金体系 | 概要 | 相場目安 |
|---|---|---|
| 着手金 | 契約時に支払う初期費用。「着手金無料」をうたう業者も増えている | 無料〜数十万円 |
| 月額報酬 | 毎月継続的に支払う顧問料。承継完了まで数ヶ月〜1年以上かかる | 30〜100万円/月 |
| 成功報酬 | M&Aが成約した際に支払う。取引金額に一定率をかけて算出する | 取引額の3〜5%前後 |
月額報酬は6ヶ月〜1年継続すると、それだけで180万〜600万円超になります。着手金が無料でも、トータルの費用感を事前に把握しておくことが大切です。

成功報酬(レーマン方式)とは
M&Aの成功報酬には「レーマン方式」と呼ばれる計算方法が一般的に使われています。取引金額の規模に応じて段階的に料率が下がる仕組みで、小規模な案件では5%前後が多く見られます。たとえば会社を1億円で売却した場合、5%の成功報酬であれば500万円の手数料が発生します。手取り額に直接影響するため、事前の試算は欠かせません。
「着手金無料」でも、月額と成功報酬の合計が高くなるケースがあります。中小M&Aガイドライン(第3版)でも複数業者への相見積もりが推奨されています。同じ条件で複数社に見積もりを依頼し、費用の全体像を比べてから選びましょう。
費用体系の比較ポイント
「月額固定+成功報酬」型と「成功報酬のみ」型では、短期間で成約した場合の費用が大きく変わります。自社の承継スケジュールを想定したうえで、どちらが状況に合っているかを判断しましょう。
・料金は「着手金(無料〜数十万円)」「月額(30〜100万円)」「成功報酬(取引額の3〜5%前後)」の3種
・月額が長期化するほど総額は増大する
・複数業者への相見積もりが費用管理の基本(中小M&Aガイドライン第3版)
主な相談先はどこか
民間コンサル・税理士の特徴
「誰に相談すればよいのか」と迷う経営者の方は多いと思います。事業承継の相談先は大きく4種類に分かれ、どこに相談するかで費用・スピード・サポート内容が変わります。
- 経営コンサルティング会社:戦略立案や後継者育成を含む総合支援が得意。費用は高めになる傾向がある
- 会計事務所・税理士:税務・財務の専門家。自社株評価や税制活用に強い
- M&A仲介会社・FA:買い手のマッチングに特化。第三者承継(M&A)を検討するならば選択肢の一つ
- 金融機関・生命保険会社:融資・保険と組み合わせた提案が特徴。ただし独立した立場ではないケースもある
公的支援センターの活用
見落とされがちなのが、全国47都道府県に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」です。中小企業庁が設置する公的機関で、相談は無料です。まずここで現状を整理してから、必要に応じて民間コンサルを選ぶ流れが費用リスクを抑えるうえで有効です。
いきなり有料コンサルと契約するのではなく、公的センターでの無料相談を入口にする。この順序を知っているかどうかで、初期費用の負担が大きく変わります。事業承継の手続き全体については、こちらのページ(事業承継の流れ)もあわせてご覧ください。

・相談先は民間(コンサル・税理士・仲介)と公的機関(支援センター)に大別される
・まず公的センターで無料相談→その後に民間コンサルを選ぶ順序が費用リスクを下げる
・相談先の特性に合わせて「誰に何を聞くか」を整理することが重要
私たち4040 VISIONは、M&A仲介・アドバイザリー会社ではなく、自社グループに迎え入れる譲渡先として活動しています。譲渡をご検討中の経営者の方からのご相談をお待ちしています。
依頼で得られる効果
専門知識で税務リスクを回避
「コンサルに頼まなくても、顧問税理士に任せれば十分ではないか」。そう思われる方もいるかもしれません。しかし実際には、承継特有の税務判断は通常の顧問業務と別次元の専門性が求められます。
事業承継では自社株式の評価方法(純資産価額方式・類似業種比準方式など)の選択が税負担を大きく左右します。また、事業承継税制(特例措置)の適用を受けるには、特例承継計画を2026年3月31日までに提出する必要があります(出典:中小企業庁)。この期限を見落とした場合、数百万〜数千万円規模の税負担差が生じることもあります。
時間・交渉力を補完できる
専門家を使う二つ目の効果は、経営者自身が現業を続けながらも、承継手続きを並行して進められる点です。M&Aの候補先探しから価格交渉、デューデリジェンス(買い手が売り手の企業内容を詳しく調査する手続き)の対応まで、コンサルが代行します。
帝国データバンクの2024年調査によれば、後継者が不在の企業は全国で53.9%にのぼります(出典:帝国データバンク 2024年)。その多くが「動き出せずにいる」背景には、時間と専門知識の不足があります。コンサルはこのボトルネックを取り除く役割を担います。
後継者育成の伴走支援
後継者が決まっている場合でも、承継後の経営移行をスムーズにするための育成伴走が必要です。「社長がいないと会社が回らない」属人的な経営体制は、買い手側の評価を下げる要因になります。コンサルは承継前の体制整備も支援します。
・税務リスクの回避・時間の確保・交渉力の補完が主な3つの効果
・事業承継税制の特例承継計画提出期限は2026年3月31日(中小企業庁)
・後継者の育成体制整備まで支援するコンサルも存在する
補助金で費用を抑える
事業承継・M&A補助金の概要
「コンサル費用が高い」と感じる経営者にぜひ知っておいてほしいのが、国の補助金制度の存在です。多くの競合記事では触れていませんが、制度の内容は大きく拡充されました。
令和6年度補正より、従来の「事業承継・引継ぎ補助金」が「事業承継・M&A補助金」に名称変更・拡充されています(出典:中小企業庁)。補助上限は800万円、補助率は1/2です。ただし、小規模事業者(製造業で従業員20人以下、商業・サービス業で5人以下)に該当する場合は補助率が3分の2に引き上げられます(出典:中小企業庁)。
たとえば月額50万円のコンサルを6ヶ月使った場合、補助対象経費300万円のうち小規模事業者なら最大200万円が補助され、実質負担は100万円まで圧縮される計算になります。
専門家活用枠の補助内容
「専門家活用枠」は、M&A仲介費用や税理士・弁護士等への報酬など、外部専門家費用の一部を補助する枠です。本枠を活用すれば、コンサル費用そのものを補助の対象にできます。

補助金は事後精算(先に費用を支払い、後から補助が入る)が原則です。先に費用を払ってしまうと補助対象外になる場合があります。以下の手順で進めましょう。
- コンサルへの依頼・支払い前に、補助金の採択・交付申請のスケジュールを確認する
- 認定支援機関(中小企業庁認定)に補助金活用の可否を事前確認する
- 公募スケジュールは中小企業庁の「ミラサポplus」で最新情報を確認する
・「事業承継・M&A補助金」(令和6年度補正):補助上限800万円、補助率1/2(小規模事業者2/3)
・専門家活用枠ではコンサル費用も補助対象になり得る
・事後精算のため、支払いタイミングの計画が不可欠
自力で進める3つの壁
独力では難しい3つの局面
コンサルなしで事業承継を進めることは、不可能ではありません。ただ、実務上は3つの局面で「独力の限界」が現れます。お気づきでしょうか。多くの経営者が、この壁にぶつかって初めて専門家に頼む決断をするのが実情です。
一つ目は自社株式の評価です。非上場会社の株価は複数の算定方式から選択しますが、誤った方法を選ぶと税務調査で否認されるリスクがあります。二つ目は価格交渉です。自分の会社を自分で売る状況は感情が入りやすく、条件を冷静に整理しながら交渉するのは困難です。三つ目は法律・契約書の確認です。基本合意書(LOI)から最終譲渡契約まで、専門的な読み解きが必要になります。
コンサル不要の場合もある
一方で、すべての経営者がコンサルを必要とするわけでもありません。顧問税理士がM&A・事業承継の実績を持っており、後継者も決まっていて、株価対策が主な課題であれば、顧問税理士を中心に進めることも十分です。
「何を解決したいか」を先に整理してから相談先を選ぶことで、不要な費用を避けられます。
コンサルを選ぶ際、「両手取り(売り手・買い手の双方から手数料を取る)」の仲介業者は、利益相反(売り手と買い手の利益が対立する状況)が生まれやすい構造です。中小M&Aガイドライン(第3版)でも、利益相反の可能性がある場合には事前に説明義務があると定められています。依頼前に必ず確認しましょう。
・株価評価・価格交渉・契約書確認の3場面でコンサルの力が特に発揮される
・顧問税理士が実績を持ち後継者も決まっているケースでは不要な場合もある
・「何を解決したいか」を先に整理して必要なサポートだけを選ぶ
後悔しない選び方6点
資格・実績・費用の透明性
コンサルを選んで後悔した経営者が口をそろえて言うのが「最初に確認しておけばよかった」という言葉です。初回相談前にチェックすべきポイントは6点あります。
-
1
中小企業庁の登録M&A支援機関かどうかを確認する。国の登録制度に登録されている業者は最低限の行動指針を遵守する義務を負います。未登録業者との契約は避けましょう。
-
2
自社の業種・規模での実績を確認する。製造業・建設業・IT企業など、自社業種に近い承継実績があるかは重要な判断基準です。
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3
費用の全体像を書面で確認する。月額・着手金・成功報酬の組み合わせと、総額の試算を書面でもらいましょう。
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4
「両手取り」か「片手取り」かを聞く。売り手側のみから受託する「片手取りFA」は、経営者の利益を優先しやすい立場です。
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5
担当者が固定されているか確認する。途中で担当者が変わると、引き継ぎのロスが生じます。誰が主担当になるかを事前に確認しましょう。
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6
セカンドオピニオンを活用する。1社だけの説明で判断せず、公的センターや別の専門家にも意見を聞く姿勢が、後悔しない選択につながります。
両手取りリスクに注意
「譲渡先(会社を受け取る側)」の視点から見ると、売り手と買い手の双方を仲介する業者は、一方の利益交渉に力を入れにくい構造があります。自社の利益を守るためには、自分の側だけのアドバイザーを選ぶか、FA(自分の代理人として交渉する専門家)との契約を検討することが有効です。
実際の承継先がどのような会社かは、SDアドバイザーズの実績・事例紹介ページでご確認いただけます。

・登録支援機関かどうか・実績・費用の透明性・両手取りの有無・担当固定・セカンドオピニオンの6点が選定基準
・片手取りFAは自分の利益を守りやすい立場
・複数に相談してから判断する姿勢が後悔のない選択につながる
まとめと最初の一歩
今日からできる3つのアクション
M&A・事業承継コンサルの月額費用は30〜100万円、成功報酬は取引額の3〜5%前後が相場の目安です。費用が気になる場合は「事業承継・M&A補助金」の活用を検討しましょう。小規模事業者なら補助率が3分の2まで適用され、実質負担を大きく圧縮できます。
「まず何から動けばよいか」と迷う方には、次の3つのアクションをお勧めします。第一に、全国47都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターへの無料相談で現状を整理すること。第二に、複数の民間コンサルから相見積もりを取り費用を比較すること。第三に、中小企業庁の登録M&A支援機関リストで候補業者の登録状況を確認することです。
一人で抱え込まず、まず話を聞いてもらうだけでも、見えてくるものがあります。帝国データバンクの調査では後継者不在率が53.9%(2024年)にのぼりますが、専門家と一緒に動き始めた経営者の多くが「思ったより選択肢があった」と感じています。
・コンサルの料金:着手金(無料〜数十万円)+月額(30〜100万円)+成功報酬(取引額の3〜5%前後)
・「事業承継・M&A補助金」(令和6年度補正)でコンサル費用の最大2/3(小規模事業者)を補助
・まず公的センターで無料相談→複数業者で相見積もり→登録支援機関かを確認して選ぶ
私たちは仲介者ではなく、お迎えする側です。経営者様のお考えと、私たちのグループとの相性を、一緒にじっくり見極める時間を大切にしています。
私たち4040 VISIONは、M&A仲介・アドバイザリー会社ではありません。事業を譲り受ける側として、ともにグループの未来を築く経営者の方をお迎えしています。
「どのような会社にバトンを渡すべきか」を検討されている段階でも、一度お話を聞かせてください。譲渡を急かすことはいたしません。
私たちSDアドバイザーズ事業承継グループは、外部の企業にM&Aをご支援するコンサルタントではありません。
自社自身が事業承継・M&Aを積極的に活用し、グループ企業を拡大していく譲渡先として活動しています。「40人の社員がいる会社を40社つくる」というビジョンのもと、実際に譲渡企業の経営者様と向き合い、ともにグループの未来を築いてきた経験と実績が、このコラムの情報の裏付けとなっています。▶ 実績・事例紹介はこちら
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