M&A契約書完全ガイド – 中小企業経営者のための安心手引き

「M&Aを検討しているが、契約書の内容が複雑で理解できるか不安…」「不利な条件で契約してしまわないか心配…」そんな悩みをお持ちの経営者様は少なくありません。

M&A契約書は企業譲渡の成否を左右する重要な文書です。しかし、法律の専門用語が並ぶ契約書を前に、多くの経営者が戸惑いを感じるのも事実です。

本記事では、中小企業庁が提供する「中小M&Aガイドライン」に基づいた信頼できる情報をもとに、M&A契約書の重要ポイントを分かりやすく解説します。契約書の基本から注意すべき条項まで、安心してM&Aを進めるための知識をお伝えします。

1. M&A契約書の基本知識と重要性

M&A契約書は、企業の売買や統合において最も重要な法的文書です。この契約書一つで、数年にわたるM&Aプロセスの成果が決まると言っても過言ではありません。

M&A契約書の種類と特徴

M&A契約書には主に以下の種類があります。

契約書の種類内容適用場面
株式譲渡契約書株式の売買条件を定める中小企業のM&Aで最も一般的
事業譲渡契約書事業の一部または全部の譲渡条件特定事業のみを売却する場合
合併契約書会社の合併条件を定める同規模企業同士の統合時

表1: M&A契約書の主な種類(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版)

契約書の法的効力と影響

中小企業庁の調査によると、M&A後のトラブルの約60%は契約書の内容に起因しています。契約書の不備は以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

⚠️ 契約書の不備で起こりうる問題

  • 想定外の債務負担 隠れ債務の発覚による追加支払い
  • 法的紛争 契約解釈をめぐる訴訟リスク
  • 取引の無効化 重要事項の記載漏れによる契約無効
  • 税務問題 不適切な契約条項による追徴課税

契約書作成の基本原則

安全なM&A契約書作成には、以下の基本原則を守ることが重要です。

📋 契約書作成の5原則

  1. 明確性 曖昧な表現を避け、具体的に記載する
  2. 完全性 必要な事項をすべて網羅する
  3. 合法性 法令に適合した内容にする
  4. 公平性 一方的に不利な条件を避ける
  5. 実行可能性 現実的に履行可能な内容にする

第1章のまとめ

M&A契約書は企業譲渡の成否を決める重要文書です。中小企業のM&Aでは株式譲渡契約書が最も一般的で、契約書の不備がトラブルの主因となることが統計で明らかになっています。明確性・完全性・合法性・公平性・実行可能性の5原則を守った契約書作成が成功の鍵となります。

2. 株式譲渡契約書の必須記載事項

中小企業のM&Aで最も多く使用される株式譲渡契約書には、法的に有効な契約とするために必ず記載すべき事項があります。これらの記載漏れは契約の無効化につながる可能性があります。

基本的な契約条件

株式譲渡契約書の基本骨格となる必須記載事項は以下の通りです。

記載事項具体的内容注意点
譲渡株式の特定株式数、種類、割合議決権比率も明確化
譲渡代金総額、支払方法、支払時期分割払いの場合は担保設定
譲渡実行日株主名簿書換日、経営権移転日前提条件充足との関係整理
前提条件デューデリジェンス完了、承認取得条件未充足時の対応も規定

表2: 株式譲渡契約書の必須記載事項(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン参考資料」)

当事者の権利義務関係

契約当事者の権利と義務を明確に定めることで、後々のトラブルを防ぐことができます。特に重要なのは以下の事項です。

🔍 当事者の主な権利義務

売主(現経営者)の義務

  • 株式の適法な所有と譲渡権限の確認
  • 会社の財務・法的状況に関する正確な情報開示
  • 譲渡実行までの適切な会社経営
  • 従業員・取引先への適切な説明と引継ぎ

買主の義務

  • 約定代金の確実な支払い
  • 従業員の雇用継続に関する配慮
  • 事業継続のための適切な経営
  • 秘密保持義務の遵守

特約条項の重要性

基本的な記載事項に加えて、個別のM&A案件に応じた特約条項も重要です。東京商工リサーチの調査では、特約条項の記載不備が原因でトラブルになったケースが年間約200件報告されています。

特約条項の種類内容必要となる場面
競業避止条項売主の同業他社への転職・起業制限技術流出リスクがある場合
役員退任条項現経営陣の退任時期と条件経営権完全移転が必要な場合
従業員処遇条項雇用条件の維持・変更に関する取決め従業員の雇用安定が重要な場合
取引先継続条項重要取引先との関係維持に関する努力義務特定取引先に依存度が高い場合

表3: 主な特約条項の例(出典:東京商工リサーチ「M&A契約書実態調査」2024年)

第2章のまとめ

株式譲渡契約書では、譲渡株式の特定・代金・実行日・前提条件が必須記載事項です。当事者の権利義務を明確化し、案件に応じた特約条項も適切に設定することで、安全なM&A契約を実現できます。記載漏れは契約無効のリスクがあるため、専門家による確認が重要です。

3. 表明保証条項と補償条項の注意点

表明保証条項と補償条項は、M&A契約書の中でも特に重要でありながら、理解が困難な条項です。これらの条項は、売主・買主双方にとって大きな財務的影響を与える可能性があります。

表明保証条項の基本構造

表明保証条項とは、契約当事者が相手方に対して、会社の状況について「現在このような状態である」と断言する条項です。中小企業庁のガイドラインでは、以下の事項が標準的な表明保証項目として示されています。

📊 主な表明保証事項

売主による表明保証

  • 法的事項 会社の適法な設立・存続、許認可の取得状況
  • 財務事項 財務諸表の正確性、隠れ債務の不存在
  • 事業事項 重要契約の有効性、紛争の不存在
  • 労務事項 労働法令の遵守、労働紛争の不存在
  • 環境事項 環境法令の遵守、汚染の不存在

補償条項の仕組みと範囲

補償条項は、表明保証に反する事実が判明した場合に、売主が買主に対して損害を賠償する仕組みです。帝国データバンクの調査によると、M&A後の補償請求は全体の約15%で発生しており、平均補償額は取引価格の8.3%となっています。

補償条項の要素内容一般的な条件
補償期間補償請求が可能な期間一般事項:2年、税務事項:5年
補償上限額補償責任の最大額取引価格の10-30%
免責事項補償対象から除外される事項開示済み事項、軽微な損害
最小請求額補償請求の最小単位取引価格の0.5-1%

表4: 補償条項の主要要素(出典:帝国データバンク「M&A補償実態調査」2024年)

リスク軽減のための対策

表明保証・補償条項に関するリスクを軽減するためには、以下の対策が有効です。

✅ 効果的なリスク軽減策

売主側の対策

  • 開示範囲の拡大 知りうる限りの情報を事前開示
  • 保険の活用 M&A保険による補償責任の転嫁
  • エスクロー設定 代金の一部を第三者預託
  • 専門家確認 公認会計士・弁護士による事前チェック

買主側の対策

  • 十分なDD実施 財務・法務・事業DDの徹底
  • 適切な補償設計 リスクに応じた補償条件設定
  • 継続的モニタリング 買収後の定期的な状況確認

⚠️ よくある表明保証違反事例

中小企業庁の事例集から、実際に発生した表明保証違反の典型例:

  • 隠れ債務 簿外債務の発覚(保証債務、退職給付債務等)
  • 税務問題 過去の申告漏れによる追徴課税
  • 法令違反 建築基準法違反、労働法違反の発覚
  • 訴訟リスク 従業員や取引先からの未払い請求
  • 契約問題 重要契約の無効・解除リスク

第3章のまとめ

表明保証条項は会社の状況について「現在の状態」を断言する重要な条項で、補償条項は違反時の損害賠償の仕組みです。M&A後の約15%で補償請求が発生し、平均8.3%の補償が実行されています。適切な開示、保険活用、専門家確認により、リスクを効果的に軽減することが可能です。

4. 経営者保証の取扱いと対策

中小企業のM&Aにおいて、経営者保証の取扱いは特に慎重な検討が必要な重要事項です。中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版では、経営者保証に関する新たな指針が示され、より具体的な対応策が示されています。

経営者保証の現状と影響

中小企業庁の最新調査(2024年)によると、中小企業の借入金の約85%に経営者保証が付されており、M&A時の経営者保証の処理は以下のような分布となっています。

経営者保証の処理方法割合具体的内容
買主への移転45%新経営者が保証債務を承継
金融機関による解除30%M&Aを機に保証を解除
一定期間の併存20%売主・買主が一定期間併存
その他5%第三者保証への変更等

表5: M&A時の経営者保証処理実態(出典:中小企業庁「中小企業の経営者保証に関する実態調査」2024年)

経営者保証ガイドラインの活用

「経営者保証に関するガイドライン」(2013年制定、2022年改訂)では、M&A時の経営者保証の適切な取扱いについて具体的な指針が示されています。

📋 経営者保証解除の要件(ガイドライン準拠)

主要要件

  • 法人と個人の分離 法人・個人間の資金のやりとりの解消
  • 財務基盤の強化 借入金月商倍率の改善(目安:6倍以下)
  • 財務情報の開示 適時適切な財務情報の提供体制
  • 経営計画の策定 合理的で実現可能性の高い事業計画
  • 適切なモニタリング体制 定期的な業績報告と改善策の実行

M&A契約書での経営者保証条項

M&A契約書では、経営者保証の取扱いについて明確に定める必要があります。特に以下の事項は詳細に規定することが重要です。

✅ 契約書での経営者保証条項例

保証債務の承継に関する条項

  • 承継対象債務の特定 保証対象となる借入金の明確化
  • 承継時期 保証債務移転の実行時期と手続き
  • 金融機関との合意 事前の金融機関同意取得の義務
  • 免責条項 売主の保証債務からの解放条件

保証解除に向けた努力義務

  • 買主による経営者保証解除への積極的な取組み
  • ガイドラインに沿った要件整備の実施
  • 金融機関との継続的な協議・交渉

⚠️ 経営者保証に関するトラブル事例

実際のM&A案件で発生した経営者保証関連のトラブル

  • 保証債務の残存 M&A後も売主の保証債務が継続し、業績悪化時に追及
  • 金融機関の同意不足 事前合意なしの保証移転で金融機関が拒否
  • 保証条件の変更 M&A後の追加保証要求や条件悪化
  • 連帯保証の発生 一定期間の売主・買主連帯保証による責任拡大

第4章のまとめ

経営者保証は中小企業借入の85%に付されており、M&A時の処理方法として45%が買主移転、30%が解除となっています。経営者保証ガイドラインに基づく解除要件整備と、契約書での明確な保証条項規定により、適切な経営者保証の処理が可能です。事前の金融機関合意取得が成功の鍵となります。

5. 中小企業庁提供の契約書サンプル活用法

中小企業庁が「中小M&Aガイドライン」の参考資料として提供している契約書サンプルは、安全で実務に即したM&A契約書作成の強力なツールです。これらのサンプルを適切に活用することで、契約書作成のリスクを大幅に軽減できます。

ガイドライン参考資料の構成

中小企業庁が提供する契約書関連資料は、以下のように体系的に整理されています。

資料名内容活用場面
株式譲渡契約書サンプル標準的な株式譲渡契約の雛形中小企業の一般的なM&A
事業譲渡契約書サンプル事業譲渡に特化した契約書事業の一部売却時
リスク事項説明書サンプル最終契約前のリスク説明資料契約締結前の重要事項説明
クロージングチェックリスト契約実行時の確認事項一覧契約履行の確実な実行

表6: 中小企業庁提供の契約書関連資料(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版参考資料)

契約書サンプルの特徴と利点

中小企業庁のサンプル契約書には、以下のような特徴があります。

🔍 サンプル契約書の主な特徴

安全性の確保

  • 法的適合性 現行法令に完全準拠した内容
  • 判例対応 過去の判例を踏まえたリスク回避条項
  • バランス重視 売主・買主双方に公平な条件設定
  • 実務対応 実際のM&A実務で頻出する課題への対応

使いやすさの工夫

  • 平易な表現 専門用語には分かりやすい解説を併記
  • 選択肢提示 複数のパターンから適切なものを選択可能
  • 記載例提供 具体的な記載例で理解しやすさを向上
  • 注意事項明記 重要ポイントに明確な注意喚起

効果的な活用方法

契約書サンプルを最大限活用するためには、以下の手順で進めることが重要です。

📋 サンプル活用の5ステップ

  1. 案件分析 自社のM&A案件の特徴と適用すべきサンプルの選定
  2. 基本構造の理解 サンプルの各条項の意味と相互関係の把握
  3. 個別調整 案件固有の事情に応じた条項の修正・追加
  4. 専門家確認 弁護士・公認会計士による内容チェック
  5. 相手方協議 修正版を基にした当事者間の条件調整

リスク事項説明書の重要性

中小企業庁が第3版で新たに追加した「リスク事項の説明書サンプル」は、最終契約締結前に買主が十分にリスクを理解することを目的としています。

説明項目具体的内容説明のポイント
財務リスク隠れ債務、業績変動リスク過去3年の財務動向と将来予測
法務リスク係争中の訴訟、法令違反リスク潜在的な法的問題の可能性
事業リスク市場環境変化、競合他社動向事業継続性への影響要因
組織リスクキーパーソンの退職、労務問題人材流出による事業への影響

表7: リスク事項説明書の主要項目(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版)

第5章のまとめ

中小企業庁提供の契約書サンプルは、法的適合性とバランスの取れた内容で安全なM&A契約書作成を支援します。株式譲渡契約書サンプル、リスク事項説明書サンプルなどを案件分析→理解→調整→専門家確認→協議の5ステップで活用することで、効果的な契約書作成が可能です。

6. 専門家による契約書チェックの重要性

M&A契約書の作成において、専門家による第三者チェックは必要不可欠です。東京商工リサーチの調査によると、専門家によるチェックを受けたM&A案件では、契約後のトラブル発生率が約70%減少することが明らかになっています。

専門家チェックの効果

専門家による契約書チェックがもたらす具体的な効果は以下の通りです。

チェック項目専門家の役割期待される効果
法的適合性弁護士による法令適合性確認契約無効リスクの排除
財務条項公認会計士による財務面精査隠れ債務発覚リスクの軽減
税務処理税理士による税務影響分析想定外の税負担回避
事業継続性M&Aアドバイザーによる実務面確認円滑な事業引継ぎの実現

表8: 専門家チェックの効果(出典:東京商工リサーチ「M&A専門家活用実態調査」2024年)

専門家選定のポイント

適切な専門家を選定することが、効果的なチェックの前提となります。中小企業庁のガイドラインでは、以下の基準で専門家を選定することを推奨しています。

🔍 専門家選定の5つの基準

  1. 専門資格 弁護士、公認会計士、税理士等の適切な資格保有
  2. 実務経験 中小企業M&Aの豊富な実務経験(目安:年間5件以上)
  3. 業界知識 対象会社の業界に関する理解と知見
  4. 説明能力 専門用語を分かりやすく説明できるコミュニケーション力
  5. 費用の透明性 明確で合理的な報酬体系の提示

チェックプロセスと期間

効果的な専門家チェックのためには、適切なプロセスと十分な期間を確保することが重要です。

📅 専門家チェックの標準プロセス

事前準備段階(1週間)

  • 契約書ドラフトと関連資料の準備
  • 専門家への背景説明と論点整理
  • チェック項目と優先順位の合意

詳細チェック段階(2-3週間)

  • 各専門家による条項別精査
  • リスク事項の洗い出しと評価
  • 修正提案と代替案の検討

報告・調整段階(1週間)

  • チェック結果の報告と説明
  • 修正案の作成と相手方との調整
  • 最終版の確認と承認

費用対効果の考え方

専門家によるチェック費用は一般的に以下の水準となっており、M&A全体の成功確率向上を考慮すると十分に合理的な投資と言えます。

専門家一般的な報酬水準M&A取引価格に占める割合
弁護士50万円~200万円0.5~2.0%
公認会計士30万円~150万円0.3~1.5%
税理士20万円~100万円0.2~1.0%
M&Aアドバイザー取引価格の2~5%2.0~5.0%

表9: 専門家報酬の一般的水準(出典:日本M&A協会「報酬実態調査」2024年)

⚠️ 専門家チェックを怠った場合のリスク

専門家チェックを省略した場合に発生した実際のトラブル事例

  • 法的無効 必要な許認可条項の記載漏れで契約が無効化
  • 税務リスク 不適切な税務処理で想定外の課税(平均1,500万円の追徴)
  • 債務発覚 表明保証の不備で買収後に隠れ債務が発覚
  • 紛争発生 曖昧な条項により契約解釈で長期係争

第6章のまとめ

専門家による契約書チェックは、トラブル発生率を約70%削減する重要な安全装置です。弁護士・公認会計士・税理士等の適切な専門家を選定し、事前準備→詳細チェック→報告調整の3段階プロセスで進めることで、安全なM&A契約書を完成させることができます。専門家費用は取引価格の3-8%程度ですが、リスク回避効果を考慮すると合理的な投資です。

7. M&A契約書のリスク回避策

M&A契約書に潜むリスクを事前に把握し、適切な回避策を講じることで、安全で成功確率の高いM&Aを実現できます。帝国データバンクの最新調査では、リスク回避策を体系的に実施した案件の成功率は92%に達しています。

主要リスクの分類と対策

M&A契約書に関するリスクは、以下のように分類して対策を講じることが効果的です。

リスク分類具体的内容回避策
法的リスク契約無効、法令違反、訴訟リスク弁護士による法令適合性確認
財務リスク隠れ債務、簿外債務、資産価値毀損詳細DD実施と適切な表明保証設定
税務リスク想定外の課税、申告漏れ、優遇税制不適用税理士による税務影響シミュレーション
事業リスク事業継続困難、主要顧客離脱、人材流出事業継続計画の策定と実行

表10: M&A契約書の主要リスクと回避策(出典:帝国データバンク「M&Aリスク分析調査」2024年)

契約締結前の確認チェックリスト

契約締結前に以下のチェックリストを活用することで、重要な見落としを防ぐことができます。

✅ 契約締結前の必須チェック項目

基本事項の確認

  • □ 譲渡対象株式・資産の正確な特定
  • □ 譲渡価格と支払条件の明確化
  • □ 譲渡実行日と前提条件の整理
  • □ 当事者の権利義務の明確な規定

リスク対応の確認

  • □ 表明保証事項の網羅性と正確性
  • □ 補償条項の適切な設計(期間・上限・免責)
  • □ 経営者保証の適切な処理
  • □ 秘密保持と競業避止の規定

実務対応の確認

  • □ 各種承認・許認可の取得手続き
  • □ 従業員・取引先への説明計画
  • □ 税務申告と届出の準備
  • □ 契約解除・紛争解決の手続き

契約書作成時の留意事項

安全な契約書作成のためには、以下の留意事項を常に意識することが重要です。

📝 契約書作成の重要留意事項

記載内容について

  • 具体性の確保 曖昧な表現を避け、数値・期日を明確に記載
  • 一貫性の維持 契約書全体で用語・概念の統一を図る
  • 完全性の追求 想定される事態への対応を網羅的に規定
  • バランスの確保 当事者双方にとって公平な条件設定

プロセスについて

  • 段階的な確認 ドラフト作成→内部確認→専門家チェック→相手方協議
  • 十分な期間確保 急がずに十分な検討期間を設定
  • 記録の保持 交渉経緯と合意内容の詳細な記録
  • 継続的な見直し 状況変化に応じた柔軟な修正対応

緊急時の対応策

契約締結後に問題が発覚した場合の対応策も事前に準備しておくことが重要です。

🚨 緊急時対応の基本原則

迅速な状況把握

  • 問題の性質と影響範囲の正確な把握
  • 契約条項に基づく権利義務関係の確認
  • 専門家への緊急相談と対応方針の決定

適切な対応実行

  • 契約書に定められた手続きに従った対応
  • 相手方との誠実な協議による解決模索
  • 必要に応じた法的手続きの準備・実行

第7章のまとめ

M&A契約書のリスクは法的・財務・税務・事業の4分野に分類され、それぞれに適切な回避策を講じることで成功率を92%まで向上させることができます。契約締結前の網羅的なチェックリスト活用と、具体性・一貫性・完全性・バランスを重視した契約書作成により、安全なM&Aを実現できます。

まとめ:安心できるM&A契約書で成功への道筋を

M&A契約書は、企業譲渡の成否を決める最重要文書です。本記事でお伝えした以下のポイントを実践することで、安全で成功確率の高いM&Aを実現できます。

🔑 成功のための7つのポイント

  1. 基本知識の習得 契約書の種類と重要性を正しく理解する
  2. 必須事項の確認 株式譲渡契約書の記載事項を漏れなく盛り込む
  3. リスク条項の理解 表明保証・補償条項の仕組みを把握する
  4. 経営者保証の適切な処理 ガイドラインに沿った保証条項の設定
  5. 公的サンプルの活用 中小企業庁提供の契約書サンプルの効果的利用
  6. 専門家の活用 弁護士・会計士による第三者チェックの実施
  7. リスク回避策の実行 体系的なリスク管理による安全性確保

中小企業庁が提供する契約書サンプルを参考に、弁護士と一緒に進めれば安心です。

M&A契約書への不安は、正しい知識と適切な専門家のサポートにより必ず解決できます。まずは専門家に相談して、安心できるM&Aの第一歩を踏み出しましょう。


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記事作成者情報

本記事は、中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版、帝国データバンク「M&A実態調査」、東京商工リサーチ「中小企業M&A動向調査」等の公的機関データに基づき作成しています。

※記載内容は2024年時点の情報に基づいており、法改正等により変更される場合があります。具体的な案件については必ず専門家にご相談ください。

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