事業承継コンサルタントの選び方|信頼できる専門家と悪質業者を見分ける具体的な方法

「業者に丸投げしたら、着手金だけ取られて何もしてくれなかった」――。事業承継を検討しはじめた経営者の方から、このような話を耳にすることがあります。

一方で、信頼できる専門家と出会い、自社の想いを受け継いでくれる後継者を見つけられた方も数多くいらっしゃいます。専門家の選び方が、事業承継の成否を大きく左右するのです。

本記事では、事業承継コンサルタントや関連業者を選ぶ際の「信頼できる専門家と悪質業者を見分けるポイント」をお伝えします。相談前の準備から、安全な相談の順序まで、わかりやすく解説します。

「この業者は信頼できるのか」――まず、その不安は自然なことです

事業承継やM&A(企業の合併・買収)を検討しはじめた方が「専門家を信用していいのか」と感じるのは、決して珍しいことではありません。

実際、M&Aの仲介市場は近年急速に拡大しており、参入障壁の低さから業者の数も増えています。質の高い支援者がいる一方で、経営者の不安につけ込む悪質な業者が存在するのも事実です。

国内の中小企業における後継者不在率は、長年にわたり50%を超えています。後継者問題を抱える企業が多いため、M&A・事業承継の支援ビジネスへの参入が相次いでいます。(出典:帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査」)

しかし、専門家全員が信頼できないわけではありません。見極めのポイントを知れば、自分で信頼できる業者を選ぶことは十分に可能です。

📌 ポイント
事業承継・M&Aの支援業者は「玉石混交」の状態です。ただし、見極めのポイントを押さえれば、自分自身で信頼できる業者を選ぶことは十分に可能です。本記事の内容を最後までご活用ください。

事業承継に関わる専門家の種類と役割の違い

事業承継やM&Aには、さまざまな専門家が関与します。それぞれの役割と特徴を整理しておくことが、適切な選択への第一歩です。

なお、事業承継全体の手続きの流れについては、こちらの事業承継の流れのページでもご確認いただけます。

税理士・公認会計士

税務面全般のサポートを担います。相続税・贈与税の対策や、M&Aにおける法人税・譲渡所得税の計算が主な業務です。

顧問税理士がいる場合は、まず相談することも選択肢です。ただし、M&Aの交渉・仲介については専門外の場合が多く、別の専門家との連携が必要になります。

弁護士

法的な契約書の作成・審査、デューデリジェンス(=買い手が売り手の企業内容を詳しく調査すること)の法務面を担当します。

M&Aでは最終的に株式譲渡契約書などの重要書類を作成するため、弁護士のサポートは欠かせません。ただし、M&Aの仲介・マッチング機能は持ちません。

M&A仲介会社

売り手企業と買い手企業の双方を仲介し、マッチングをおこないます。多くの案件を持ち、幅広い候補先を探せる点がメリットです。

一方で、後述する「両手取引」の問題が生じやすく、利益相反(=売り手・買い手の双方から手数料を受け取ることで、どちらの利益を優先するかが曖昧になること)のリスクがあります。

FA(ファイナンシャルアドバイザー)

FA(=売り手または買い手のどちらか一方の利益のみを代理する専門家)は、仲介会社とは異なり、依頼者の立場に立った交渉が可能です。

ただし、候補先の数は仲介会社より少ない場合があります。

銀行・信用金庫

近年は地域金融機関がM&Aの仲介機能を担うケースも増えています。地域の事業者ネットワークを活かした候補先紹介が強みです。

ただし、融資関係を背景とした利益誘導が生じる場合があるため、注意が必要です。

📋 この章のまとめ
・税理士・弁護士は専門分野のサポートが主で、仲介機能は別の専門家が担います
・M&A仲介会社は候補先が多い反面、利益相反リスクへの注意が必要です
・FAは依頼者の利益を代理するため、売り手として安心感があります

悪質業者の手口を知る――中小M&Aガイドラインが示す警戒ポイント

事業承継・M&Aで被害に遭わないためには、悪質な手口をあらかじめ知っておくことが重要です。

中小企業庁が策定・公表している「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2023年9月改訂)は、M&A支援業者が守るべき行動指針を定めており、問題のある行為についても明示しています。(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」)

手口① 高額着手金を取って動かない

相談の初期段階で高額な着手金(=契約前に支払う前払い費用)を要求し、その後ほとんど動かないケースがあります。

中小M&Aガイドラインでは、仲介・FA業者が費用体系を依頼者に事前に明示することを求めています。着手金の金額・返金の有無は、契約前に書面で必ず確認してください。

手口② 両手取引による利益相反

M&A仲介会社が売り手・買い手の双方と契約し、双方から手数料を受け取る「両手取引」は、利益相反が生じやすい形態です。

中小M&Aガイドラインは、利益相反が生じる場合には依頼者への十分な説明を求めています。

⚠️ 注意
「両手取引」の場合、仲介会社は売り手・買い手の双方から手数料を受け取ります。どちらの利益を優先するかが曖昧になりやすいため、契約前に取引形態を必ず確認してください。中小M&Aガイドラインでは、利益相反の開示と説明が求められています。(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」)

手口③ 情報の不適切な管理・漏洩

売り手企業の情報が、依頼者の同意なく複数の業者や候補先に流出するケースがあります。

M&A交渉では、自社の財務情報や従業員情報などの機密情報を開示する場面があります。中小M&Aガイドラインも、情報の適切な管理を業者に義務付けています。複数の仲介会社に並行して依頼する場合は、情報管理の方針を事前に確認してください。

手口④ 専任条項を悪用した囲い込み

「他の業者への同時依頼を禁止する」専任条項(=契約期間中は他の業者に依頼できない条件)を設けた上で、自社都合の案件紹介を優先するケースがあります。

専任契約自体は珍しくありませんが、契約期間・解約条件・情報の扱いを契約前に書面で必ず確認してください。

📋 この章のまとめ
・高額な着手金・返金不可の条件には要注意です
・両手取引は利益相反リスクがあり、業者に説明を求めてください
・情報管理の方針と専任条項の内容を、契約前に書面で確認することが重要です

「まずは話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です。

4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。

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国の登録制度(M&A支援機関登録)で信頼できる業者を確認する

「業者の信頼性をどうやって確かめればいい?」とお感じの方に、まず活用していただきたいのが国の登録制度です。

中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」を設けており、一定の基準を満たした仲介・FA業者を登録・公表しています。中小企業の事業承継・M&Aを支援する業者の質の向上を目的として設けられた制度です。(出典:中小企業庁「M&A支援機関登録制度」)

登録業者を確認する手順

以下の手順で、検討中の業者が登録されているかどうかを確認できます。

手順 内容
中小企業庁のウェブサイトで「M&A支援機関登録」を検索する
「登録M&A支援機関一覧」から業者名を検索する
検討中の業者が一覧に掲載されているかを確認する
登録の有無にかかわらず、費用・条件は契約前に書面で確認する

登録があれば安心か?

登録されていることは「最低限の基準を満たしている」ことの目安になります。

ただし、登録があるからといって、その業者が必ずしも最適とは限りません。あくまで「悪質業者を排除するための第一のふるい」としてご活用ください。登録を確認した上で、後述の質問リストを使って業者を見極めてください。

📌 ポイント
中小企業庁のM&A支援機関登録制度を使えば、検討中の業者が国に登録されているかをウェブ上で無料で確認できます。相談前の「第一チェック」として必ず活用してください。(出典:中小企業庁「M&A支援機関登録制度」)

最初の相談前に準備しておくべきこと

「相談するといっても、何を話せばいいかわからない」とおっしゃる方は多いと思います。準備なしに相談に行くと、業者ペースの話し合いになってしまうことがあります。

以下の情報を事前に整理しておくことで、自分に合った業者かどうかを冷静に見極めやすくなります。

準備しておくべき基本情報

下表の内容を、メモ書き程度でかまいません。事前に整理しておいてください。

項目 具体的な内容
会社の概要 業種・創業年・従業員数・主な事業内容
財務の概況 直近3期の売上・営業利益のおおよその傾向(増減)
後継者の状況 親族・社内に後継者がいるかどうか
希望条件 希望する時期・従業員の雇用維持・売却価格のイメージ
相談の目的 情報収集の段階か、具体的に手続きを進めたい段階か

「相談の目的」を明確にしておく

特に重要なのが「相談の目的」を自分で決めておくことです。

「まず情報を集めたいだけ」の段階と「すでに具体的に話を進めたい」段階では、相談相手の選び方が変わります。まだ情報収集の段階であれば、その旨を相談時に明確に伝えることが大切です。業者のペースに乗せられないよう、自分の立ち位置を最初に伝えてください。

📋 この章のまとめ
・会社概要・財務概況・後継者の状況・希望条件を事前にメモ書きで整理しておきましょう
・「今は情報収集の段階」か「具体的に進めたい段階」かを明確にしてから相談に行くことが重要です
・詳細な資料がなくても大丈夫です。まず相談することに意味があります

相談時に必ず確認すべき質問リスト

「相談に行ったら売り込まれるだけでは」と心配されている方も多いと思います。確認すべき質問をあらかじめ用意しておけば、主導権を持った対話が可能になります。

費用・契約に関する確認事項

費用の透明性は、業者の誠実さを測る最も重要な指標のひとつです。以下の点を必ず確認してください。

  • 1

    着手金はいくらか。返金条件はあるか。

  • 2

    成功報酬の計算方法(レーマン方式=譲渡金額に応じた段階的な料率で計算する方法など)を書面で確認できるか。

  • 3

    費用の全体像を契約前に書面で説明してもらえるか。

  • 4

    契約期間と解約条件はどうなっているか。

担当者・実績に関する確認事項

担当者の経験・実績も、重要な判断材料です。以下の点を確認してください。

  • 1

    担当者のM&A実務経験の年数・これまでの担当件数を教えてもらえるか。

  • 2

    同業種・同規模の案件を過去に成約させた実績はあるか。

  • 3

    売り手・買い手のどちらの立場を代理するのか(仲介か、FAか)。

情報管理に関する確認事項

機密情報の取り扱いについても、必ず事前に確認してください。

  • 1

    自社の情報は、どの範囲まで・どのタイミングで開示されるのか。

  • 2

    NDA(守秘義務契約)はいつ締結するのか。

  • 3

    情報を開示する候補先の選定基準を説明してもらえるか。

📌 ポイント
「費用を書面で確認できるか」「情報開示の範囲を説明してもらえるか」の2点に、業者の誠実さが表れます。口頭説明だけで済まそうとする業者には注意が必要です。

セカンドオピニオンを活用すべき場面と上手な使い方

医療の世界と同様に、事業承継・M&Aでも「セカンドオピニオン」(=別の専門家に第二の意見を求めること)の活用が広まっています。

セカンドオピニオンが特に有効な場面

次のような状況では、別の専門家の意見を求めることを検討してください。

・業者から提示された売却価格の妥当性に疑問を感じるとき
・契約書の内容が複雑で、十分に理解できないとき
・「早く決断しないと機会を失う」と急かされていると感じるとき
・1社しか話を聞いていない段階で、契約を求められているとき

⚠️ 注意
「今すぐ決めないと、この買い手候補は逃げてしまいます」という言葉には注意が必要です。優良な業者は、依頼者が十分に検討できる時間を確保します。判断を急かされる場面では、必ず一度立ち止まり、別の意見を求めてください。

セカンドオピニオンの活用法

セカンドオピニオン先として最も適しているのが、次章でご紹介する「事業承継・引継ぎ支援センター」です。公的機関であるため無料で相談でき、特定の業者への誘導もありません。現在進めている話を客観的に評価してもらうことができます。

また、顧問税理士・弁護士に相談することも有効です。M&A交渉の経験がなくても、「この契約条件に問題はないか」という観点では専門的な意見を得られます。

安全な相談の順序:まず公的機関から始める

ここまでの内容を踏まえて、事業承継・M&Aの相談をはじめる際の「安全な順序」をお伝えします。

ステップ1:事業承継・引継ぎ支援センターで無料相談

全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」(経済産業省所管の公的支援機関)は、第一の相談窓口として最適です。

費用は無料です。特定の業者への誘導もなく、中立的な立場から情報提供と専門家の紹介を受けることができます。まず公的機関に相談することで、業界の基本的な知識と費用感を無料で得られます。(出典:中小企業庁「事業承継・引継ぎ支援センター」)

ステップ2:M&A支援機関登録で確認し、複数業者に相談・比較

公的機関で基礎知識を得た後、民間業者に相談します。このとき、1社だけに絞らず、最低でも2〜3社に問い合わせて比較することをおすすめします。

前述のM&A支援機関登録で登録業者を確認した上で、相談時の質問リストを活用してください。対応の丁寧さ・費用の透明性・情報管理の方針を比較することで、信頼できる業者が自ずと絞り込まれます。

ステップ3:信頼できる業者と具体的な手続きを進める

業者を選んだ後は、事業承継の流れに沿って具体的な手続きを進めていきます。詳しくはSDアドバイザーズの事業承継の流れのページもご参照ください。

✅ 実践ポイント
① 事業承継・引継ぎ支援センターで無料相談(基礎知識・費用感を把握)
② M&A支援機関登録で民間業者の登録を確認
③ 複数の業者に相談し、質問リストで比較・検討
④ 信頼できる業者を選んで具体的な手続きへ

SDアドバイザーズの実績・事例紹介はこちら

📋 まとめ
・最初の相談先は「事業承継・引継ぎ支援センター」(無料・公的機関)が最も安全です
・民間業者は複数を比較した上で選択しましょう
・M&A支援機関登録・質問リスト・セカンドオピニオンを組み合わせて、自分を守ってください

見分け方がわかれば、最初の一歩を自信を持って踏み出せます。

信頼できる専門家は必ず存在します。一人で抱え込まず、まず話を聞いてもらうだけでも、見えてくるものがあります。

「まずは話だけ聞いてみたい」という方も大歓迎です。

4040 VISIONでは、事業承継・M&Aに関する無料相談を随時承っております。ご状況を丁寧にお伺いした上で、最適な選択肢をご提案いたします。

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監修:株式会社SDアドバイザーズ 事業承継グループ
私たちSDアドバイザーズ事業承継グループは、外部の企業にM&Aをご支援するコンサルタントではありません。
自社自身が事業承継・M&Aを積極的に活用し、グループ企業を拡大していく譲渡先として活動しています。

「40人の社員がいる会社を40社つくる」というビジョンのもと、実際に譲渡企業の経営者様と向き合い、ともにグループの未来を築いてきた経験と実績が、このコラムの情報の裏付けとなっています。

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※ 税務・法務の個別案件については、必ず税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況によって異なる場合があります。

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代表取締役 高木栄児