M&A用語集 - 関係者
M&Aに関わる主要な関係者について解説します
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ファイナンシャルアドバイザー(FA)
ファイナンシャルアドバイザーは、M&A取引において企業価値評価、交渉戦略立案、取引実行支援を行う専門家です。投資銀行、証券会社、独立系アドバイザリーファームが担当し、売手FA・買手FAとして各当事者を支援します。案件発掘から統合支援まで全プロセスに関与し、成功報酬型が一般的です。中立的な立場での助言と利害調整能力が求められます。
FAの主要業務
戦略立案
スキーム設計
スキーム設計
→
企業評価
価格交渉
価格交渉
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DD支援
契約交渉
契約交渉
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クロージング
統合支援
統合支援
💡 FA報酬の目安
- リテイナーフィー:月額100-500万円
- 成功報酬:取引金額の1-5%(レーマン方式)
- 最低報酬:2,000万-1億円
プライベートエクイティ(PE)ファンド
PEファンドは、機関投資家から資金を集めて非上場企業に投資し、経営改善により企業価値を向上させた後、売却益を狙う投資ファンドです。LBOを活用し、3-5年での投資回収を目指します。経営への積極関与、業界再編の推進、成長投資の実行により、IRR20-30%を目標とします。日本でも事業承継や大企業のカーブアウト案件で存在感が増しています。
PEファンドの投資サイクル
資金調達
LP出資
LP出資
→
投資実行
LBO活用
LBO活用
→
価値向上
3-5年
3-5年
→
Exit
IPO/売却
IPO/売却
価値創造手法
- 経営陣強化・ガバナンス改善
- オペレーション改善
- 成長戦略実行・M&A
- 財務リストラクチャリング
投資基準
- EBITDA 5億円以上
- 安定的キャッシュフロー
- 市場地位・競争優位性
- 経営改善余地
戦略的投資家
戦略的投資家は、財務的リターンだけでなく、事業シナジーや戦略的価値を求めてM&Aを実行する事業会社です。同業他社や川上・川下企業が典型例で、市場拡大、技術獲得、バリューチェーン統合などを目的とします。対象企業との統合により相乗効果を生み出し、長期的な企業価値向上を図ります。財務的投資家(PEファンド等)と比較して、高い買収価格を提示できることが多いのが特徴です。
戦略的投資家の主な目的
市場拡大
地域・顧客
地域・顧客
→
技術獲得
R&D強化
R&D強化
→
バリューチェーン
統合
統合
→
シナジー
創出
創出
戦略的投資家 vs 財務的投資家
| 項目 | 戦略的投資家 | 財務的投資家(PEファンド) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 事業シナジー、戦略的価値 | 財務的リターン(IRR) |
| 保有期間 | 長期(永続的) | 中期(3-5年) |
| 統合アプローチ | 既存事業との統合 | 独立運営が基本 |
| 価格水準 | シナジー分上乗せ可 | スタンドアローン価値 |
| 経営関与 | 事業統合・再編 | ガバナンス・財務改善 |
売り手側のメリット
- 高い買収価格の提示
- 事業の継続・発展
- 従業員の雇用維持
- 既存顧客・取引先との関係継続
留意点
- 統合による組織文化の変化
- 事業の独立性喪失
- 重複部門の整理統合
- 競合他社への情報流出リスク
💡 典型的な戦略的投資家
- 同業他社:市場シェア拡大、スケールメリット
- 川上企業:原材料・部品の安定調達
- 川下企業:販売チャネルの確保
- 異業種:新規事業への参入、技術獲得
アクティビスト投資家
アクティビスト投資家は、上場企業の株式を取得し、経営陣に対して企業価値向上策の実施を積極的に要求する投資家です。株主提案、委任状争奪戦、メディア活用などを通じて、事業売却、配当増額、自社株買い、経営陣交代などを求めます。短期的利益追求との批判もありますが、ガバナンス改善や経営効率化を促す側面もあり、日本でも活動が活発化しています。
アクティビストの要求事項
| カテゴリー | 要求内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 事業戦略 | 事業売却・撤退 | 選択と集中 |
| 資本政策 | 増配・自社株買い | 株主還元 |
| ガバナンス | 社外取締役増員 | 経営監督強化 |
| M&A | 買収・売却推進 | 企業価値向上 |
ターゲット(対象会社)
ターゲットは、M&Aにおいて買収や合併の対象となる企業です。戦略的適合性、財務健全性、成長可能性などを基準に選定されます。友好的買収では経営陣が協力的ですが、敵対的買収では抵抗することもあります。企業価値評価、デューデリジェンス、交渉の焦点となり、買収後の統合成功がM&Aの成否を決定します。適切なターゲット選定が最重要課題です。
ターゲット選定基準
戦略適合性
シナジー
シナジー
×
財務健全性
収益性
収益性
×
買収可能性
価格・態度
価格・態度
=
最適ターゲット
セラー(売手)
セラーは、M&Aにおいて企業や事業を売却する側の当事者です。創業者、投資ファンド、親会社などが該当し、売却理由は事業承継、投資回収、事業再編など多様です。企業価値最大化、従業員雇用維持、事業継続性確保などを重視し、価格だけでなく買手の質も評価します。適切な売却タイミングと買手選定、交渉戦略が成功の鍵となります。
売却理由
- 事業承継(後継者不在)
- 投資回収(Exit)
- 事業の選択と集中
- 財務改善・資金調達
売手の関心事項
- 売却価格の最大化
- 従業員の雇用維持
- 企業文化・理念の継承
- 取引の確実性・スピード
アクワイアラー(買収者)
アクワイアラーは、M&Aにおいて他企業を買収する側の当事者です。事業会社による戦略的買収と、投資ファンドによる財務的買収に大別されます。シナジー効果の実現、市場シェア拡大、新規事業参入などを目的とし、適切な買収価格の設定と統合後の価値創造が重要です。資金調達力、統合実行力、リスク管理能力が問われ、過去の買収実績が信頼性の指標となります。
買収者の類型
| 類型 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 戦略的買収者 | 事業シナジー | 長期保有、高値提示可 |
| 財務的買収者 | 投資リターン | 3-5年Exit、レバレッジ活用 |
| 業界内企業 | 水平統合 | 規模の経済追求 |
| 異業種企業 | 多角化 | 新規参入、リスク分散 |